大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所堺支部 昭和44年(わ)260号 判決

主文

被告人を禁錮八月に処する。

訴訟費用は全部被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、自動車運転の業務に従事するものであるが、

第一、昭和四四年七月一三日午后一一時一五分頃普通貨物自動車(泉四ひ八四七七号)を運転し、堺市中長尾町三丁一〇三番地附近道路を東から西に時速約五五キロメートルで進行していたが、当時降雨中でワイパーを使用し前照灯を下向けにしていたので、前方左右の見透しがやや困難な状況であつたから、運転中は特に前方左右を注視し、減速徐行の上、進路の安全を確認して進行すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、同一速度のまま漫然進行し、折柄進路を北から南に横断していた会社員岩本旭(当時四〇才)を自車の直前になるまで気付かなかつた過失により、遂に自車前面左側部分を同人に衝突させて脳挫創及び脳内出血等の傷害を負わせ、そのため同日午后一一時五〇分頃同市内吉川病院において同人を死亡させ、

第二、呼気一リツトルにつき〇・五ミリグラム以上のアルコールを身体に保有し、その影響により正常な運転ができないおそれがある状態で、前記日時、道路において前記自動車を運転し

たものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為中、第一の所為は刑法第二一一条前段罰金等臨時措置法第二条、第三条に、第二の所為は道路交通法第六五条、第一一七条の二第一号、同法施行令第二六条の二に該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、業務上過失致死罪につき所定刑中禁錮刑を、道路交通法違反罪につき所定刑中懲役刑をそれぞれ選択した上、刑法第四七条本文、第一〇条により重い業務上過失致死罪の刑に同法第四七条但書の制限内で法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を禁錮八月に処する。訴訟費用につき刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用して全部被告人に負担させることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例